七年ぶりに会った懐しい友

 宗七は、とろんとした眼を上げる。「あは、あははは、いや、こっちのことじゃ。」大次郎は、自嘲的に笑って、「それでどうして、誓約どおり今日ここへ来る気になられた。」「それがどうも、あっしにもよくわからねえんで、へえ――来ねえつもりだったんですが、なにかにこう引っ張られるような気もちで、気がついた時...

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草の文

     草の文

「さようでげすな。」 宗七は軽薄な表情で、わざとらしくそこらを見まわしながら、「あの江上の先生が、今日という日をすっぽかすわきゃあござんせんが。はてな――。」 けれど、いくら眺めわたしても、狭い山上は一眼である。人といっては、大次郎と宗七の二人きりで、思い出したように雨に濡...

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七年間の遊蕩《ゆうとう》

 たしかに利七には相違ないが、語調といい、顔つきといい、七年間の遊蕩《ゆうとう》に崩れきったらしい安芸人肌――きっとした大次郎の視線を受けても、利七は平気の平左で、がさがさと笹を鳴らして上って来ると、自分から先に中央の三角石の前へ行って、ばらり、裾を下ろして蹲踞《しゃが》みこんだ。葛籠笠をぽんと、傍...

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