この下の猿の湯にて

「どうしてこんなところにつづら笠が――。」 つぶやきながら、宗七が手をかけて笠を除《と》ると、下には、小石を重しに載せて一枚の紙が置いてある。 宗七が拾い上げて、大次郎に渡した。「はてな。何人が残しておいたものか。ことによると、佐助ではないかな――。」 ふたつ折りの紙をひらくと、さらさらと矢...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 07:32 am  

七年ぶりに会った懐しい友

 宗七は、とろんとした眼を上げる。「あは、あははは、いや、こっちのことじゃ。」大次郎は、自嘲的に笑って、「それでどうして、誓約どおり今日ここへ来る気になられた。」「それがどうも、あっしにもよくわからねえんで、へえ――来ねえつもりだったんですが、なにかにこう引っ張られるような気もちで、気がついた時...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 07:31 am  

草の文

     草の文

「さようでげすな。」 宗七は軽薄な表情で、わざとらしくそこらを見まわしながら、「あの江上の先生が、今日という日をすっぽかすわきゃあござんせんが。はてな――。」 けれど、いくら眺めわたしても、狭い山上は一眼である。人といっては、大次郎と宗七の二人きりで、思い出したように雨に濡...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 07:29 am  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0273 sec.

http://ath-kita.jp/