おそろしい使い手になった

 大次、いつの間にか腕を磨いて、おそろしい使い手になったものだ――と、われを忘れて見惚《みと》れていた文珠屋は、そのとき、わっと人声に気がつくと! 逃げ出したのだ、千浪が。 どういう隙があったのか、警戒の侍を振りほどいて、千浪が一散に駈け出している。 血なまぐさい光景に失神しそうなのだろう。無...

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出羽は、動かない

 大次郎も、かなり斬りつけられているに相違ない。着物はところどころ裂かれて、若布のように下がり、どす黒い血を全身に浴びて、顔ももはや人相がわからないほど血まみれなのだ。 血で、女髪兼安の柄が滑るのか、時どき片手ずつ離してはじぶんの脇腹へ股へ、赤い掌をこすり拭いている。 出羽は、動かない。 両手...

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入道雲

 しずかな声で、大次郎が言った。 と、瞬間に、正面の北伝八郎を襲うと見せた大次郎、だっ! 横ざまに足を開いて、右手にいた一人へ片手なぐり――女髪兼安は、がっと聞える異妖なよろこびの叫びを揚げて、肉を咬《か》み、骨を削った。 たら、たらと、女髪を伝わって鍔もとを舐める温かい人血。「ふふん、こりゃ...

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